1.プロジェクトの目的
2022年4月、JRは発足から35年を迎えました。この間、経営基盤の脆弱なJR北海道・JR四国・JR貨物(JR二島・貨物)は、地域の社会・経済にとって必要不可欠な社会的インフラとして「公」の役割を担いながら、様々な支援策のもと懸命に努力し経営を維持してきましたが、経営自立の道筋は立っていません。
こうした中、2020年度末に鉄道・運輸機構の特例業務勘定を財源とした支援策が節目を迎えるタイミングの2019年秋に「JR二島・貨物経営自立実現プロジェクト」を発足しました。同プロジェクトは、JR二島・貨物が将来にわたって担うべき社会的使命を果たし続けられるよう、
@ 2021年度以降の支援策の延長・拡充【当面の対策】
A 経営自立の姿を描きそこに繋げる道筋の確立【将来像とプロセス】
の実現を目指し、2022年5月までに11回の会合を開催するなど取り組んできました。
2.提言の方向性、今後の取り組み
2020年5月には「中間とりまとめ」を発出し、2021年3月の国鉄債務等処理法等の改正に関する審議においては、関係議員の協力もあり国会質疑や附帯決議に中間とりまとめの内容を反映することができました。そして、同年4月には政府が「支援パッケージ」を打ち出し、2030年度までの支援策が講じられることとなりました。
一方で、JR二島・貨物の経営自立には解決すべき中長期課題が多く存在しており、これまでの延長線上ではない新しい形・新しい仕組みが必要です。また、JR二島・貨物の課題は全てのJRにも関係する課題とも言えます。そこで、JR連合はこれらをとりまとめ、2022年5月に「最終提言」を策定しました。今後、課題解決と提言内容の具現化に向け、あらゆる関係者の理解の輪を広げながら、連携・協働に向けて取り組みます。
3.PTの活動実績
【PT会合】
第1回(2019年12月5日)JRに残された最大の課題、解決へキックオフ!
第2回(2020年2月27日)JR貨物グループの「ありたい姿」をヒアリング!
第3回(2020年3月6日)四国のめざすべき将来像への課題解決を!
第4回(2020年3月30日)JR北海道が進むべき方向性を共有!
第5回(2020年3月26日)働く者の視点で経営自立を求めていく!
第6回(2020年5月27日)政策提言・中間とりまとめを策定!
2020年5月27日の第6回会合において中間とりまとめを策定しました。6月には立憲民主党および国民民主党に手交したほか、8月には国土交通省鉄道局にも手交しました。また、9月末からは緊急政策課題の解決を求める署名活動を展開し、全国の22万筆超の思いを集約しました。これらの取り組みは12月の国土交通大臣への要請行動や翌年の法改正や支援策の実現につながりました。
第7回(2020年12月2日)次期国会での法改正に向けた取り組みを確認!
第8回(2021年1月27日)法改正に向け国土交通省と意見交換を実施!
第9回(2021年4月27日)JR貨物が目指す物流ネットワークの姿をヒアリング!
第10回(2022年4月19日)JR北海道に支援の活用状況をヒアリング!
第11回(2022年5月17日)プロジェクト最終提言(案)を確認
2022年6月15日の第32回定期大会において最終提言を報告しました。2021年度以降の支援策はJR二島・貨物と働く者の近未来を支える成果となりましたが、3社が目指す「経営自立」の実現には重大な中長期課題を解決しなければなりません。JR連合が提唱する「チーム公共交通」「チーム地域共創」の意義を共有し、すべての関係者が集い、それぞれの役割を果たすことが重要と考えます。
【政策提言策定ワーキング:有識者との勉強会】
第2回(2020年3月26日) ※PT第5回会合を参照