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2024春季生活闘争の基調

<2024春季生活闘争スローガン>
人財の確保・定着につながる賃上げと働き方の見直し
組合員の努力が生み出した付加価値の適正分配
ONE TEAMで生活改善を実現しよう

JRの責任産別であるJR連合は、加盟単組はもとより、労働組合に護られていないグループ会社や協力会社等の仲間にも想いを馳せて、以下の基本的なスタンスに基づき、全加盟単組がONE TEAMとなって2024春季生活闘争に取り組むこととします。

そして、春季生活闘争の取り組みを通じて、健全な労働組合と労使関係の必要性を内外に広く訴え、JR産業に集うすべての仲間のJR連合への総結集を呼びかけていきます。

なお、2024春季生活闘争を取り組むにあたっての基調については以下の通りです。

(1) 生産性向上分の適正な成果分配を堂々と求める

@ 組合員の努力が積み上げた利益・成果分配を求めることは当然

 JR産業は、発足当時から各社を中心とした自助努力による生産性の向上、コスト削減、関係者との連携などにより経営を改善しながら発展を遂げてきました。こうした経験は、コロナ禍にあっても発揮され、短期間で大規模な効率化施策を実施するなどの苦労はあったものの、未曾有の経営危機から脱出する兆しが見えています。
 2020年3月期の後半から危機に陥ったJR7社の経営は、2023年3月期には一定の回復基調にあると判断できます。しかし、コロナ禍に指摘された「鉄道の利用はコロナ禍前の水準には戻らない」とした説が現実味を帯びています。
 依然として厳しい経営状況は継続しているものと認識していますが、コロナ禍で実施した施策が効果を発揮し、あるいはコロナ禍での経験がさらなる生産性の向上につながるなど、建設的な労使協議によってJR産業の将来を切り開いていく必要があることは言うまでもありません。
 危機を乗り越えつつある中、組合員がさらに高いモチベーションを発揮しながらJR産業の発展に尽力するためには、今こそ、継続的な賃上げに舵を切る必要があります。
 春季生活闘争は、労働者が生活の維持・改善を実現するため、日頃の努力により生み出された利益・成果を賃金として適正に分配を求めるものです。コロナ禍の組合員の努力は、これまでに例を見ない苦労を伴うものであり、ここまで経営環境を改善したことは組合員の努力があってこそ他なりません。
 回復基調に転じた今こそ、これまでの努力を含め、成果の分配を堂々と求めていかなければなりません。

A 極端な物価上昇により実質賃金は低下

 2023春季生活闘争で、JR連合・加盟単組は、過去に例を見ない成果を獲得することができましたが、一方で課題が残っていることも事実です。また、連合の総括では、足元の物価上昇が賃上げを上回り、物価上昇を加味した実質賃金はマイナスとなったと評価されています。
 連合が集計した2023春季生活闘争の結果は、定期昇給相当分を含めて3.58%となりました。一方、総務省が発表している消費者物価指数は、2022年度平均で3.2%、2023年10月速報値は3.3%と、いずれも高水準で推移しています。また、厚生労働省による毎月勤労統計調査では、名目賃金に物価上昇分を加味した実質賃金が、2023年10月まで19カ月連続でマイナスとなり、国民生活は苦しさを増している状況です。
 物価は、私たちの賃金水準を決定する絶対的な要素ではないものの、組合員が努力を重ねた結果として生活が苦しくなっては意味がなく、後述する離職問題にも拍車をかけかねません。
 従って、2024春季生活闘争では、引き続き物価動向を注視し、物価上昇を上回る賃上げの実現をめざさなくてはなりません。

(2) JR産業の持続的発展のため、労使で危機感を共有し、人財定着の実現をめざす

・ JR産業が持続的に発展するために人財は不可欠

 これまで、長期安定雇用とそれに連動した一環処遇をJR産業の雇用方針の基調とし、雇用の安心感のもと、技術の錬磨や安全の追求に勤しんできました。その結果、JR産業は国鉄時代では考えられなかった成長を遂げてきました。
 この間、少子高齢化の進展や人口減少による社員数の減少、長引くデフレ経済における賃金の抑制と雇用不安、働き方に直結する法改正、技術革新による労働環境の変化など、産業を取り巻く環境は大きく変化してきました。そうした中、JR産業を支え発展させてきたのは、そこで懸命に働く組合員であり、今後もその役割は変わるものではありません。
 引き続き、優秀な人財がJR産業で意欲高く働き続けることがJR産業の発展に欠かせられないものであり、人財の定着は不可欠です。

・ 雇用情勢の変化

 一方、上述したJR連合の経過とは裏腹に、コロナ禍による社会変容の中で「ジョブ型雇用」をはじめとする就労形態の変化や「労働力の流動化」「リスキリング」等の必要性がクローズアップされています。
 JR産業でも、若年・中堅層を中心に離職が続いており、人財の定着に向けては、若年層の勤労観・家庭観の変化を踏まえ、キャリアステップを示し、働きがいや成長を実感できる取り組みが求められています。
  また、激しい人財獲得競争の中、「採用」を経営の最重要課題に位置付けた労使の取り組みが必要であり、多様な事情を抱える人財(育児・介護・治療等)、多様な人財(女性・高年齢者・社会人・外国人・障がい者等)の処遇制度・就労環境の整備は急務と言えます。 

(3) すべての仲間の想いを包摂し、あらゆる「人財への投資」を実現する

@ 月例賃金にこだわった処遇改善

・ 働きの価値に見合った水準への到達
 中期労働政策ビジョンで社会水準を意識して設定した必達目標賃金を念頭に、「働きの価値に見合った水準」への引き上げをめざします。

・ 可処分所得の維持・拡大
  物価上昇が賃上げを上回ることで組合員の可処分所得が目減りしている現状を踏まえ、生活給として必要な水準を維持していくためにも月例賃金にこだわった闘争を創り上げます。

・ 賃金制度における課題の解消
  コロナ禍では、月例賃金総額に占める勤務実績見合いの手当の比重が高い業種において、月例賃金が大きく減少する課題が顕在化しました。ほかにも、各単組が把握する賃金制度の個別課題の解決をめざして取り組みます。

A 賞与による人財への投資

 若年層においては、賞与の与えるインパクトが大きく、少なからず離職の判断を左右する要因のひとつになっています。
 基本的には、賞与のみならず退職手当や割増賃金等にも直接影響を与え、長期間にわたって組合員の利益となる月例賃金にこだわることに変わりはありませんが、賞与の与える影響を鑑みると一定の水準で支払われるよう取り組む必要があります。また、新年度全体の賃金を決定し、向こう1年間の生活設計が立てられるようにすることで、組合員の安心感を醸成することも離職防止の観点から重要です。
 従って、早期決定を念頭に単組の事情を考慮しつつ、可能な限り春季生活闘争時期に合わせて賞与を求め、決着をめざして取り組みます。

B 意欲高く働き続けることができる多様な働き方の実現

・ 人財の定着を促進する働き方の実現
 優秀な人財の定着を図る観点から、賃金以外の労働条件を含めた働き方全般について点検し、改善を図ります。
 また、コロナ禍で加速した社会変容に適切に対応するため、フレックスタイム制の導入・拡大、テレワークやオンライン会議の有効活用を図ります。一方、フレックスタイム制やテレワークが現実的に導入することが困難な業種については、組合員のニーズを汲み取りながら様々な観点から働き方の見直しを推進していきます。

・ 多様な人財のニーズに応えることができる働き方の実現
  時代とともに勤労観や家庭観などの価値観に変化が生まれることを踏まえ、業務の効率化・省力化の推進に合わせ、JR特有の就労形態である長時間拘束や夜間作業、広域転勤の縮減など、構造的な課題に対して大胆な改革を進めていきます。一方、こうした特有の働き方を有益にとらえる事も考察し、適正に発信していきます。

(4) JRグループ全体で生み出した付加価値の適正分配と基盤整備、産業内格差是正の取り組み

・ グループ会社においても成果の分配は堂々と求める

 JR産業は、グループ会社や協力会社の支えがあって事業運営が成り立ち、先述した経営成績を残しています。逆に言えば、JR7社の経営成績はグループ会社や協力会社の連携や協力があってこそなし得たものであり、利益・成果の適正な分配を求めるものです。
 各社毎に経営成績に差異があることも事実ですが、コロナ禍において組合員が努力を積み重ねて経営改善を果たしてきた事に変わりはなく、組合員の努力の結果としてグループ労組においても堂々と成果の分配を求めていかなくてはなりません。

・ 労務費を含めた適正な価格転嫁の推進と基盤整備

 サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配を実現するためには、適正な価格転嫁やパートナーシップ構築宣言の拡大・実効性強化などに取り組まなくてはなりません。国民、消費者のデフレマインドが変化しつつある中、労務費を含めた価格転嫁のあり方に大きな期待がかけられています。経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へのステージ転換を図るため、労務費を含めた適切な価格転嫁を推進するとともに、価格転嫁に対する理解促進を図る取り組みが求められています。
 一方で、JR産業の主たる収入源の鉄道運賃は、総括原価方式に基づく上限認可制であり、事業者が適時・適切に価格転嫁できない仕組みとなっています。労務費を含め、材料費やエネルギー費の高騰に併せ、適切な価格転嫁を推進するためには、こうした規制を緩和していくことが重要です。また、鉄道事業の委託業務を主とするグループ会社では十分に価格転嫁されているとは言い難く、労務費を含めて適正金額で契約できるよう推進しなくてはなりません。

・ グループ内における格差是正

 JR発足以降、分社化や買収などによりグループ会社は変遷してきましたが、労働条件についてはJR7社と一定の格差があり、解消されていません。コロナ禍に特に大きなダメージを受けた業種では、経営環境の悪化が労働条件に悪影響を及ぼし、さらなる人財の流出も招いています。
 時間をかけて育成してきた人財を産業外に流出することは損失ですが、離職・転職が容易な環境となり、リスキリングなどによる労働移動も推進される昨今において、産業内で人財を確保し続けるためには、企業グループ内格差が大きな課題となっています。
 特殊な勤務に就く必要がある業種など、一定の労働条件の差はあってしかるべきですが、基本的な水準は可能な限り格差を解消していく必要があります。