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2017春季生活闘争のコメント

2017春季生活闘争「連合・先行組合回答ゾーン」における結果を踏まえてのコメント(3月24日)

2017春季生活闘争の基本的な考え方

2017春季生活闘争は、第23回定期大会において決定した「中期労働政策ビジョン(2014〜2018)」に基づく3年目の闘いとなります。毎年繰り広げられる春季生活闘争が単年度の取り組みである一方で、同ビジョンは、より中長期的視点に立脚したうえで、JR関係労働者のあるべき働き方を実現するための一里塚です。全ての加盟単組がこうした認識に基づき、同ビジョンで掲げたあるべき働き方を実現すべく、賃金はもとより、自社の労働時間や休日・休暇、育児・介護、福利厚生制度などあらゆる労働条件について、点検・分析を深度化しつつ改善を図る「総合労働条件改善闘争」に徹底してこだわり、諸労働条件の着実な改善を図っていきます。

私たちを取り巻く環境を踏まえた春季生活闘争の構築

私たちを取り巻く環境は、内外の様々なリスク要因により、一層不透明さを増しています。政府及び日銀は、デフレからの脱却と経済の好循環実現をめざし、2%の物価上昇という目標の達成時期を先送りしたものの、依然として同目標を明確に掲げ続けています。欧米や中国をはじめとする海外の動向による影響も懸念されます。また、過去3年間の春季生活闘争を経て、多くの加盟単組が賃上げをはじめとする大きな成果を獲得しましたが、働く者が景気回復を実感するまでには至っていません。個人消費の伸びは鈍く、家計消費支出も2014年の消費税増税前の水準に戻っておらず、さらには毎年の社会保険料の引き上げや、2019年10月に予定されている消費税増税など、可処分所得が目減りする懸念材料が今後も目白押しです。

政府は、企業活力の一層の高揚による景気の本格回復を目的とした法人税の段階的な減税政策を進めるとともに、所得拡大促進税制の一層の拡充や雇用保険料率の引き下げ、手当面の助成制度等も検討していますが、依然として閉そく状況を打破できていません。

こうした中で、景気回復を本流に乗せ、「経済の自律的な成長」を実現していくためには、個人消費の回復・拡大が不可欠であり、私たち労働者の個人所得の向上を通じて力強い内需の形成を図ることが求められます。今後も、月例賃金をはじめとした諸労働条件のさらなる向上が必要であり、これまでの取り組みが一過性のものとならぬよう、継続的かつ主体的な取り組みが極めて重要です。

JR各社は、2016年3月期決算に至るまでは、堅調なビジネス・旅行需要を背景として運輸収入が好調であり増収増益を確保しましたが、昨年4月に発生した熊本地震により、JR九州を主として大きな被害を受けました。また、夏季輸送は好業績となったものの、その後の集中豪雨、台風の連続上陸(北海道・東北)などによって、JR北海道、JR貨物を中心に甚大な被害が生じています。第2四半期決算においては、各社・エリアにおける特殊事情の影響が色濃く表れ、通期業績予想も合わせて、各社で大きく明暗が分かれました。

一方で、JR各社では、すべての職場における一人ひとりの組合員の働きによって、「日々の安全安定輸送」が支えられ続けています。また、JR産業は他の産業に類例を見ない歪な年齢構成となっており、急激な世代交代の真っ只中にあると言えます。その中で、組合員は日々の業務への精励に加え、技術の継承や経営体力の強化に資する効率化施策や低コスト化等に取り組み、鉄道の再生と発展に向けた努力を継続しています。さらには、年々増加している訪日外国人観光客(4年連続増で過去最高)への対応に加え、東京オリンピック等将来を見据えた様々な準備にも日夜追われています。こうした有形無形の組合員の奮闘を通じてJR産業の発展が支え続けられているのです。

JR各社・グループ会社は、産業を問わず人手不足が社会問題化している昨今、凄まじい速度で進む世代交代と超高齢化・人口減少社会を迎える中で、JR産業の発展を支える有為な人財を育て、あるいは継続的に確保し続けなくてはなりません。それができなければ、私たちに課せられた社会的使命を果たし続けることは困難となります。政府が前述のような様々な経営環境整備を継続的に進めている今こそ、JR各社は将来を見据え、内部留保を蓄積させるのではなく、獲得した資金を設備投資はもとより、JR産業の持続的な発展に資する人財への投資を積極的に行い、更なる雇用の定着と採用競争力の強化を図るべきです。

総合生活改善の取り組みと時代にマッチした労働条件・制度の構築・導入の必要性

月例賃金の向上のみならず、賃金以外の労働条件向上や制度改善、とりわけ各年代ともに声が強まっているワーク・ライフ・バランスの充実強化にも継続して取り組む必要があります。そして60歳以降の再雇用契約社員や契約社員等の非正規労働者と正規労働者間の格差の是正、働く者一人ひとりの多様な価値観に対応する働き方や、仕事に応じた適正な処遇の実現に向けた取り組みも重要な継続課題であり、こうした背景の中で3年前に「あらゆる労働条件についてめざす姿を明確化するもの」として策定されたのが「中期労働政策ビジョン(2014〜2018)」であり、2017春季生活闘争においても、同ビジョンを念頭においた継続的な取り組みを展開します。

さらには、昨年閣議決定された‘ニッポン一億総活躍プラン’(2016年6月)や「未来への投資を実現する経済対策」(2016年8月)では、非正規労働者の待遇改善(同一労働同一賃金等)、長時間労働の是正や、子育て・介護・高齢者雇用・最低賃金引き上げ等といった多くのメニューが挙げられています。昨年9月より、政労使の代表及び有識者で構成される「働き方改革実現会議」が設置され、12月には「同一労働同一賃金ガイドライン案」が策定・公表されました。今後は、労働政策審議会等を経て、関連法制の改正手続きが行われる予定ですが、こうした動きをも踏まえた自社制度・運用の点検や、変更に向けた労使協議等の取り組みが求められます。引き続き外部環境の動向を注視しつつ、JRで働く者の視点から必要なカスタマイズを図りつつ、時代にマッチした労働条件・制度を構築していかなければなりません。

したがって、2017春季生活闘争においても、月例賃金の引き上げ要求を基軸としつつ、併せて賃金以外の労働条件項目、すなわち、労働時間や休日・休暇制度といった諸労働条件の向上に向けて、単年度の春季生活闘争を丁寧に積み重ねていくことが重要です。

JRグループ全体を視野に入れた取り組みの必要性

JRブランドは全てのグループ会社総体で確立されており、グループ会社が果たす役割は年々拡大し、今やグループの総合力が問われる時代です。労働力不足が社会的にも大きな課題となっている昨今、グループ会社において優秀な人材が確保でき、定着させていくための環境整備が必要不可欠です。そして、管理職や将来の経営を支える人材を継続的に確保・育成するためにも、人材育成に資する人事・賃金制度の確立も必要ですが、その一方で、グループ企業の中においては様々な雇用形態が存在しており、業種・業態によっては非正規社員のマンパワーが屋台骨を支えている会社も見受けられます。このような業種・業態では、経験年数や知識・技能の向上に見合った昇給ルールを確立し、業績への貢献や意欲・能力の発揮に応えうる処遇としていくことも求められます。

グループ会社で働く仲間の労働条件は、JR各社と比較して低位に置かれています。この現実を直視し、これまで以上にその「底上げ・底支え」「格差是正」を図ることが2017春季生活闘争に課せられた大きな使命です。連合は、2016春季生活闘争で作り上げた「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた取り組みの必要性を一層強く訴え、「大手追従・大手準拠などの構造を転換する運動」と、「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配に資する公正取引の実現」に向けた取り組みを強化するとしています。JR各社とグループ会社(以下、JRグループ)の間においても、契約単価の見直し・向上等をはじめ、付加価値の適正な分配に資する公正取引の実現を図ることが、グループ会社の労働条件の向上や安全をさらに強固に確立していくための原資を生み出すことに繋がります。そのことがグループ会社における人材の確保、技術レベルの確保・向上による安全の確立、及び安定した事業運営による収益の確保に繋がり、ひいてはJRグループへの信頼を高め、発展に寄与するのであるという視点を従来以上に強く念頭に置かねばなりません。

その上で、さらには『グループ会社と複数の階層にわたり業務の受委託関係にある協力会社等の取引企業や、JRグループと資本関係のないJR関連企業』(以下、「協力会社等」と記す)も含めて同様の取り組みを図り積み重ね、すべてのJR関係労働者の「底上げ・底支え」「格差是正」を図っていく取り組みも、JRグループ全体の将来をより一層確固たるものとし、発展させていくためには必要不可欠です。

2017春季生活闘争では、こうした視点と2016春季生活闘争の成果・課題を踏まえ、JR各社はもとより、グループ会社や協力会社等で働くすべての労働者の諸労働条件向上にむけて、より一層の取り組み強化を図り、従来以上に「底上げ・底支え」「格差是正」の実現を全面に押し出した闘いを展開します。